◆緊急告知

関東通産局は、特定商取引法に違反する行為により、リゾートクラブを含む複合会員権を連鎖販売する㈱リゾネットに対し、15か月間、業務停止命令。会員を勧誘したら儲かるとか、会員はいつでも割引で泊まれるとかには要注意!
㈱リゾネットは当協会の「リゾネット」とは関係ない・・・e-Commerceを舞台にした新たな事案
 

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3-4:お庭自慢

 「八瀬離宮」には「真」「行」「草」と名づけられた三つの庭がある。掲記のレストランのうち仏・伊・中・鉄板は「行」の庭を囲む位置にある。和は後述するように「草」の庭を抱え込むように設けてある。
   
 格式の高く整った「真」,その対極に位置する「草」,その中間の「行」である。それぞれが水の流れで緩やかにつながり、広大な敷地を潤す。石積みの壁に囲まれた車寄せに、氷の彫刻を思わせる噴水を据える。絶え間なく水を湧出させる。山々の稜線が覗き、静謐で緊張感あふれる空間を和ませようとする。 
 「真」はエントランスである。「行」の庭に浮かぶ浮島は「八瀬離宮」のシンボル。浮島の「えごの木」にスワロフスキーを装飾した。昼は日光に照らされキラキラ輝き、夜は四季で変化するイルミネーションに代わる。
 「草」は日本料理「京都 華暦」の庭園でもある。園内の「きららばし」を渡ると「華暦」がある。初夏は蛍、秋は紅葉と自然を楽しめる。外見は純和風だが、なかに入ると現代的なテイストがあふれ、モダンなレストランに変貌する。壁一面をガラス張りにしたテーブルゾーンは開放感があり、斬新にデフォルメされた枯山水や印象的なアート作品、四季折々の表情を楽しめる。
婚礼が執り行われるさいは「行」の庭を使う。チャペルは普段立ち入ることのできない特別な「浮島」に設ける。「お二人の特別な1 日を、お二人だけの特別な空間で」とのことで、この「行」の庭は特別なステージに変身する。水辺にドライアイスを撒き、雲に見立てた「天空演出」がある。
 付帯施設に「陶芸 和楽」がある。ろくろ、窯など一式がそろえてある。会員には自ら制作が可能である。インストラクターも常駐する。会員が絵付け等制作した作品を、当施設の窯で焼いて仕上げる。作品はお送りすることも可能だが、次回ホテル来館時のお楽しみでもある。他にキッズルーム、プライベートスパ、エステ・・・がある。

3-5:ランドスケープアーキテクトのこと

 開発用地としての「京都 八瀬」に興味を沸かせるもう別の要因がある。西方に傾斜し、かつ敷地内に河川(高野川水系・2級河川)があることだ。その河川を挟んださらに西側にも用地がある。京都の子供たちが見放した旧遊園地は、川を跨いだ敷地にあったのである。用地は比叡山麓で急峻な斜面の下、山頂に通ずる索道の駅付近にある。      
   上段から西に見れば日々夕日に恵まれリゾートとしては有利だ。西端の下段から東を見ると比叡山を見上げる。日本庭園で重視する「借景」である。ちなみに京都市眺望景観創生条例では、周囲の景観までを保護対象とする場合がある。周囲の景観を与件とした庭園である。
 しかしここの庭園にはもっと積極的な意図があったように感じる。以下はアメリカの話である。まっさらな開発用地にスキー場を開発するとき「ランドアーキテクト」という概念を適用する。その場合は、開発目的はスキー場ではなく「スノーエリア」なのだ。ランドアーキテクチャーが描く一枚の絵が、絵画として上手か下手かはどうでもよい。その絵をじっと見つめると、10年間のキャッシュフローが目に浮かび、その事業の成否が予測できそうな内容が読み取れる。むろんスノーエリアとて全体を構成する部分なのだが、全体の与件としてのスノーエリアではなく、全体に自己を主張するような構想なのである。
 90年バブルに至る80年代後半に日本で企画されたスキー場計画のほとんどは、借景はおろか、全体無視の索道計画の域を出ていない。これでは事業の行き詰まりは必至であった。  
 「八瀬離宮」の「真・行・草」の庭園は、比叡山を借景とした単なる受け身の庭園ではなく、むしろに叡山に何かを主張するような「かたち」があり、そこに会員を誘ってリゾートの「すがた」を作り上げる躍動がある。そのシナリオをプロデュースしたのは伊藤であるが、その課題を解いたのはだれなのか。その問いに戸井は「ランドスケープ・アーキテキクト」の存在を話題にした。
 
 ここの場合、「真・行・草」の庭園自体が何某か収益を生むわけではないが、この庭園が会員を迎え・和ませる機能を持つゆえに、会員はこのホテルが存在するかぎり繰り返し訪問する。その可能性が次世代・次々世代の会員に伝わり、持続的訪問を促すなら「八瀬離宮」はたしかに安泰なのである。