◆緊急告知

関東通産局は、特定商取引法に違反する行為により、リゾートクラブを含む複合会員権を連鎖販売する㈱リゾネットに対し、15か月間、業務停止命令。会員を勧誘したら儲かるとか、会員はいつでも割引で泊まれるとかには要注意!
㈱リゾネットは当協会の「リゾネット」とは関係ない・・・e-Commerceを舞台にした新たな事案
 

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 *静粛なたたずまいの開発用地
    1985(昭和60)年以降のリゾート開発ブームで顕著になるのだが、箱根町での大規模開発行為を推進するには、幾重にも積み重なった規制をクリアする必要がある。
 自然公園法や森林法だけではない。神奈川県のみならず、箱根町独自の条例が網を被せる。上高地の大正池周辺(自然公園法の特別保護地区)ほどではないにしても。鎌倉や京都と並んでなかなか厄介である。
   この周辺は国有林と県有林が入り組んでいる。ちなみにパウエルは神奈川県と6000坪の賃貸契約をしている。この建物から桃源台(芦ノ湖北端)に向かう南側の斜面は国有林である。そして北西方向には、箱根山の外輪山のひとつ、長尾峠越えに、富士山頂上部分がくっきりと顔を出す。いつも見慣れた、すそ野からの大全容とは異なり、なんとも奥ゆかしく可愛げがある。
   この温泉と眺望、買い手はよくぞ入手したというべきである。しかし本敷地とその周辺は、町の条例で集団施設地区(?)、「スポーツ地区」と指定され、そうそう建物は建たない。容積(15%)も用途も厳格に定められている。買収後増築し昭和63年にオープンしたアネックスも3階建て640坪であったが、スポーツ施設の設置が義務づけられたため、テニスコート6面、25mスイミングプールを設置した。
   このスポーツ地区の中に、 「レイクアリーナ箱根」がある。これは箱根町総合体育館である。ここでは例えば日本サッカー協会の「フットサル」の選手の合宿やコーチ資格の研修指導が行われる。こうした催し物の宿泊・会議で、箱根パウエルが利用されることもある。

   *「たたずまい」を評価する豊田箱根パウエル総支配人
   ホテル箱根パウエルの総支配人豊田俊介は入社3年目である。もともと松山の出身で道後温泉で働いていたが、あまりに俗化して、魅力を感じなくなったので、思い切って松山を出奔し、東京でサラリーマンをしていた。勤務先の箱根の保養所を利用するうちに箱根が好きになった。
   それで箱根の別のホテルに4年間勤務した。たまたまパウエルで募集があり、応募をしたところホールに採用されたことが始まりである。
   都会に近いのに、自然が豊富で気候も温暖である。特殊浴場も並ぶ故郷の温泉場に比べると、箱根の客層ははるかに良い。箱根パウエルは、飲んで騒いでというよりは、別荘の延長で静かに滞在していただくという雰囲気がある。これを大切にしたいと言う。豊田が強調するのは、静かな「たたずまい」である。
   このレポートのための現地取材は、16年12月11日日曜日である。箱根は典型的な閑散期。たたずまいは気候で変わる。右の画像は当日13時ごろの現地である。この日の気温と日照は以下の図のごとくである。
   当日の12月11日の平均気温は、 12月の中でも寒い日であった。気象庁のアメダスでは、箱根は降水量のみの観測なので、小田原(標高14m)と御殿場(同472m)の観測値から、箱根の状況を推定してみよう。小田原と御殿場における16年12月日々の平均気温を左下に示す。16年12月11日の平均気温は16年12月の中でも低い方に属する。また12月11日の平均気温の25年間の平均から見ても、11日の平均気温は低いことがわかる。つまり16年12月11日は16年12月の中でも寒い日であったし、平年並み以下であり、寒かったことを意味する。
   同様に16年12月11日の平均日照時間は、小田原・御殿場ともに、16年12月の中では短く、 12月11日の平均日照時間の24年間の平均から見ても、この日の日照時間は短かった。
 以上から、我々が現地調査をした16年12月11日は、比較的寒くて、日照に恵まれなかった日であった。
 念のために、この日の日照時間を、時間帯別に追跡すると、小田原、御殿場ともに、午前中の10時台・11時台で晴れたけれど、午後はほとんど太陽が見えない日であった。掲記のにわか雪模様の写真は、こうした太陽の見えない、寒くて曇った日の谷間で、一時的にしぐれた状態を映し出したものである。要は、どんよりとした、陽の射さない日(a dull, sunless day)だった。 
 お世辞にも観光日和とは言えないこの日の箱根パウエルのたたずまいは、訪問者にとって、どうしようもないほど退屈で、つまらなく映ったかというと、決してそうでは無い。まさに「静寂」そのものであって、その静寂さは、何かをしようと駆り立てるのである。それは箱根の名所旧跡を訪ね歩くツアーでは無い。例えば、外から仕事を持参して、この静寂さの中で処理してしまえという動機である。あるいは、少数の仲間が集まって、一夕浅飲歓談に及び、この静寂さになにがしか問い掛けるのも、また楽しいことなのであろう。
 もっとも支配人の豊田の立場からすれば、 1年中静寂であっては、施設そのものの維持ができない。四季のはっきりした日本では、年中にはいろいろな日があって、いろいろな利用の仕方があって差し支えない。これが、自分の別荘なら、閑散期は閑散期なりの使い方をするであろう。
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