◆緊急告知

関東通産局は、特定商取引法に違反する行為により、リゾートクラブを含む複合会員権を連鎖販売する㈱リゾネットに対し、15か月間、業務停止命令。会員を勧誘したら儲かるとか、会員はいつでも割引で泊まれるとかには要注意!
㈱リゾネットは当協会の「リゾネット」とは関係ない・・・e-Commerceを舞台にした新たな事案
 

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3:大宴会場を廃し、洋室中心に


4:洋室中心ながら、あえてユカタ

 いまから20年まえの1990年前半、下呂温泉の旅館は絶頂期だった。ただし、温泉場でホテル建築といっても、実際は名前だけのホテルで、実際には旅館である。その旅館が大繁盛していた。


 【09】下呂温泉宿泊者推移 データは下呂市 ⇒
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 次の間付き和室・大宴会場が定石だった。貸し切りバスが何台駐車したかが、その日の勝負であった。その営業費用に、旅行代理店の手数料15%と独自に営業を行う案内所の費用4%くらいが加算された。その次の間付き和室に何人も詰め込んだから、それでも十分に利益が出たし、前年対比で増収増益が当然に達成するものと確信していた。いま振り返ると、日本にはそういう時代もあったのである。
 大建設計もこの定石に沿って提案してきた。大浴場の面積の割り振りについて、当初提案は男:女=7:3であった。しかし、今後は女性グループも増えると予測して5:5とした。大団体宴会場や大型客室の提案も退けた。団体ではなく個人客・核家族をターゲットとした。大宴会場や大部屋は、洋室中心の客室に振り替えた。
 問題はパプリックスペースのオペレーションである。たとえばレストランでの浴衣・スリッパ姿を可とするかどうか。ホテルなら当然に「服装を整えて」とすべきところだが、マロニエは浴衣・スリッパで寛げるスタイルを取り入れた。マロニエが考えた「温泉スタイルのリゾートホテル」である。

 
5:温泉掘削の手順

 都会の中心部のビジネスホテルで温泉をウリにする例が増えた。温泉といっても、タンクローリーで温泉場から温泉をタンク車で輸送し、人工的に温泉の成分を温水に溶解させる(極端にいえば温泉の素を溶かす)があるが、ここでいうのは、街の真ん中で温泉を掘削して泉脈を当て汲み出すものである。
 その昔は、下水道はあったとしても、上水道などはない。水道の水で育ったと江戸っ子が自慢したくらいだ。したがって、井戸を掘って水を確保するのは当たり前だった。その水が温泉法でいう温泉、つまりは25℃以上かまたは水道に入っていない何らかの成分(少々乱暴な表現だが)があれば温泉である。
 信州・上高地だと場所によっては3mも掘れば立派な温泉が出てくるが、街の真ん中だと1000m位は掘る必要があるかもしれない。1000m超となると加速的にカネがかかる。油田と一緒で当らなければ投下資金は霧消し回収できない。リスクはある。ただ、いまは探査方法が飛躍的に向上して、まったくはずれということは、かなり減少している。
 自分の土地でも、地権者が了解していれば他人と土地だってかまわない。極論すれば、口径200㎜(20cm)の穴と、掘削の機械置き場があればそれでよい。カネさえ出せば、掘削業者が地質業者と組んで、空中から探査し、その結果で試掘に入る。


 【10】地温分布の例 出典:神奈川県温泉地学研究所
 
http://www.onken.odawara.kanagawa.jp/modules/t_onsen5/index.php?id=15
 
 ただ、もうひとつ条件があって、温泉法による掘削許可が要る。都道府県知事(ないし政令市長)に許可権がある。工場用水なら地盤沈下の心配とか、万々が一涌出した温泉にヒ素が含まれたら困ることもあるのだが、ふつうは温泉くらいでなにもうるさく言う必要はない。たいていは難なく許可されるべきである。
 (注)筆者の独断で温泉法4条1項各号をそう解釈した。

 
 6:先行業者の妨害

 しかし、掘削許可を出して、既存の温泉が枯れたり、その温度が低下すると、なんで許可したのかと詰問され、許可権者は立ち往生してしまう。そこで温泉審議会を設け、専門家に諮問する。しかし専門家だって地下の湯脈など明解にわかるとは限らない。そこで既にある温泉の掘削地点からの距離や深度の基準を決めて判断しようとする。
 たとえば59(昭和34)年の岐阜県規制では、下呂の場合、試掘の場所を既存の掘削地点から100m離し、口径150㎜以下で、深度300m以内を原則とした。この場合の下呂温泉とは下呂町のみならず、萩原町西上田・東上田を含む。

 【11】鉄道開通前の大正末期の下呂温泉(大正15年)
  これは鉄道(現・高山本線開)通前の大正末期の下呂温泉の案内図である。藥師・白鷺各温泉を記載している。鉄道開通前なので、下呂温泉の最寄駅は、遠く中津川になる。現在主力の湯之島館・水明館・下呂観光ホテルはまだ存在しない。図の下呂温泉街とあるのが、下呂で本流の湯之島村本組に該当する。
 
 ところが、すでに温泉で商いをしている先発事業者は、何かと問題提起し、許可が下りないような基準の運用を求める。温泉が枯渇する心配は建前で、本音は同業者が増えることを阻止したい。つまり温泉法を楯にして、同業者が増えないように壁(参入障壁)を高くする意図も芽生えがちだ、多額の固定資産を背負っているので、無理からぬ一面はある。長く利益を稼いできた事業者は、同業者を募ってこの壁を高くしようとする。
 ただし、温泉掘削の反対運動の原因は、業者間対立だけではない。たとえば地熱発電のための掘削となると、地域ぐるみでの反対になる。下呂でもこの種の活発な反対運動が起きた。1985年、王滝村(長野県)に地熱発電所建設に対する反対であった。⇒つぎへ