◆緊急告知

関東通産局は、特定商取引法に違反する行為により、リゾートクラブを含む複合会員権を連鎖販売する㈱リゾネットに対し、15か月間、業務停止命令。会員を勧誘したら儲かるとか、会員はいつでも割引で泊まれるとかには要注意!
㈱リゾネットは当協会の「リゾネット」とは関係ない・・・e-Commerceを舞台にした新たな事案
 

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タイムシェア研究会①

基本的な概念についてレビユーしました。なお、使用した資料は下記をクリックしてダウンロードできます。
timeshare_1b.pdf

初期のころ(1990年前後)の研究例。以下からダウンロードができます。
安藤・宮原・大谷 ワークショップ:タイムシェアとホテルコンドミニアム、日本観光学会誌#32,1998.pdf
 

タイムシェア研究会②

タイムシェア事業の特徴である交換とポイント制について、荒ごなしの議論をしました。概ねは、次回の座談会に反映されています。
 

タイムシェア研究会③ 開催趣旨

 アメリカでのタイムシェア事業の経験者や識者による座談会を試みました。テーマは、「タイムシェア事業の現状と展望」であります。

 タイムシェアがひさびさ話題になりました。国土交通省住宅局が2008年4-7月にタイムシェア研究会を設置しレポートをまとめたからであります。タイムシェアは米国で高成長を遂げる事業分野であります。また、JRCAにとりましても現在の事業と密接な関係がありますし、今後に可能性をもつ重要な事業分野であります。日本の市場に欧米風のタイムシェア事業が根付くかいなかは、いまだに予断を許さないところでありますが、とりあえず、JRCAの調査研究のいったんとして、以下に公開いたします。(記:大谷)

 

アメリカのタイムシェア立地と枠組み 抄


 
 

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タイムシェア研究会③ 内容

◆発言者のプロフィール(開催時点)

  鈴木健史氏:1957年生まれ、81年立教大観光学部卒、83年コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了、アトランタ・ザ・カモガワ社長、鴨川グランドホテル(鴨川リゾートクラブ/JRCA会員)総支配人を経て現代表取締役社長。JRCA理事。
  平尾清氏:1951年生まれ、76年慶大経済学部卒、ジャパンライン(現・商船三井)を経て、89年オーストラリア・フィージー・タヒチ・ハワイでリゾートビジネスを手掛ける。2000年アゼルに入社しハワイでタイムシェア事業に従事、05年からエンゼル(エンゼルメンバーズクラブ・アットリゾート/アゼル系/JRCA会員)代表取締役。
  今泉陽一氏:1945年生まれ、69年早大政治経済学部卒、りそな銀行で東京・仙台・名古屋などでおもに法人融資を手掛け、その後、モックアップ・プロトタイプメーカーのマネジメントに従事。現在、JRCA常務理事。
  大谷毅氏:1943年生まれ、1975年明大大学院経営学研究科博士課程退学、信州大経済学部教授、宮城大事業構想学部長を経て信州大繊維学部(大学院総合工学系研究科)教授。博士(学術)。バブル期にリゾート研究会主宰。著書に日経『リゾートビジネス』、企画編集に第一法規出版『観光リゾート開発戦略データファイル』。JRCA理事。
 (注)略歴は対談実施時点。
 
◆タイムシェア事業とその出会い


 大谷:お二方とも米国のタイムシェア事業にお詳しい。タイムシェア事業をはじめて知ったのはいつ頃でしょうか?

 鈴木:80年代の初期、コーネル大学の大学院生のころ、タイムシェアの会社の体験宿泊に誘われたことがあります。当時、アメリカでのタイムシェアは、ハードセールとの評判であったので、参加しませんでした。
 
平尾:2000年にハワイに勤務して5年間、ハワイのタイムシェア業界の最前線にいた。販売、プロパティマネジメント(ホテルの施設管理)、タイムシェアアソシエーション(管理組合)を経験しました。
 
大谷:私の場合は、1990年前後に、米国の大規模スキー場の開発と運営を調査したことにはじまり、そこでコンドミニアムホテルに関心をもち、それからRCIの年次大会にお付き合いさせていただいて、タイムシェアを知るようになりました。
 
今泉:ところで、タイムシェア事業はコンドミニアムホテルの延長上にあったと思います。コンドミニアムホテルとはコンドミニアム(集合住宅)をホテル(宿泊施設)としてオペレーション(運営)します。宿泊と滞在と居住は同じか違うかという問題につながります。日本でコンドミニアムホテルはあまりみかけません。だから日本でタイムシェア事業が盛んになりにくいし、90年前後に盛んであったリゾートマンションは、コンドミニアムホテルに転用しがたいと考えます。
 
鈴木:リゾートマンションのデベロッパから、販売が思わしくないのでキャッシュフローの出るホテルコンドミニアムに転用できないかという相談を受けたことがあります。
 
平尾:ハワイではコンドミニアムホテルは良くみかけます。日本では沖縄でジョイントコーポレーションのコンドミニアムホテルなどが動き出しています。
 
今泉:会員制リゾートやタイムシェア事業の意義はなんでしょうか。
 
鈴木:やはり別荘の管理の問題でしょう。別荘を持つというのは豊かな生活のひとつの象徴です。しかし、別荘に3~4泊したとしても、到着した日と帰る日は掃除をしなければなりません。管理費を負担しながら、掃除に明け暮れ、そのほかにも維持のための作業をしなければならないのです。もっと利用に重きを置いた商品が求められるようになると考えました。
 
平尾:集合住宅の開発で、どうしても売れないユニットがでます。これをホテルに転用して、投資商品として買っていただき。売上の一部をユニットの所有者に還元します。
 
鈴木:その還元分で税金や管理費が払えるから、ユニットの所有者は負担が増えないことになります。
 
大谷:ハワイでよく見かけました。コンドミニアムホテルのユニットの所有者は、①自分で使う、②他人に貸す、③ホテルプールに入るという3通りの使い方がありました。
 
鈴木:プールに入る場合、その動機はなんでしょうか?
 
平尾:資産運用でしょう。
 
鈴木:投じた資金がカネを産みます。
 
平尾:キャピタルゲインを狙うこともあります。最初の3年くらいは金利を稼ぎ、3年たったら転売してキャピタルゲインを得ると考える方もあります。米国ではタイムシェアはSEC(証券取引委員会)の管轄下にあります。
 
鈴木:日本人は不動産の価値を建物ではなく土地で評価しまう。しかしリゾートの土地でキャピタルゲインを実現するのは難しいと思います。やはり利用目的を優先すべきでしょう。
 
平尾:たしかに日本のリゾートでキャピタルゲインはむずかしいです。米国では2005年くらいまではキャピタルゲインがとれる例もありました。アラモアナのあるホテルではわずか30㎡の一室が20万ドルで取引された例もあります。
 
今泉:かなり高いケースですね。
 
平尾:この20万ドルはハワイの特殊事情かもしれません。
 
今泉:B/Sの右側(貸し方)の処理という点では興味深いです。
 
平尾:ホテルの投資資金の回収は古典的な形でしかできなかったです。それだと20年かかります。だからコンドミニアムホテルにして、そのユニットを投資商品とし、その販売で資金回収を早めます。そして、そのユニットをホテル化して、ホテル会社が運営します。
 
大谷:90年代に観察した頃のはなしですが、米国のスキーエリアの開発をみていると、財産計算(B/S)と損益計算(P/L)のバランスを考慮した例が多かったように思います。同じスキーリゾートでも、グランドディベロッパ主役の米国と、リフト会社主導の日本では開発の発想の仕方がずいぶん違います。たとえば、ひとつのユニットが100万ドルをこえるコンドミニアムホテルがありました。90年代の前半、ディアバレー(ユタ州のソルトレーク郊外)でみかけた米国最大手生保会社が開発したコンドミニアムホテルは、一見して掘り立て小屋のようなテラスハウスですが、ジャグジー付きのスキーインスキーアウト、バストイレつきのベッドルームが3室、かなりひろいキッチンと、リビングルームがありました。これだと1週間スキーしようというお客もでてくるかもしれません。このユニットのオーナーの弁護士は自分で使わないときは、ホテルプールにいれておきます。そしてこのコンドミニアムホテルの開発者は当時の最大手生保会社でしかたが、ここではサブのデベロッパにすぎません。これだと無理がないので長続きします。
 
鈴木:100万ドルとなるとアラモアナのコンドミニアムでも100㎡を超えます。アトランタあたりの150万ドルのシングルファミリーハウジング(戸建住宅)だと、素晴らしいプールやベッドルームが7つもついています。



 
◆タイムシェア事業と日本・米国管理組合比較論


 大谷:タイムシェアでもコンドミニアムホテルでも管理組合(アソシエーション)の存在が重要な話題になりますね。
 
鈴木:日本でタイムシェアを普及させるには法整備が必要であると思います。区分所有だと区分所有法がベースなので、管理組合が運営主体となります。集合住宅をコンドミニアムホテルやタイムシェアにかえるコンバージョン方式では管理組合の方針が当初のコンセプトに影響します。つまり、事業当初はコンバージョンに賛成し事業の推進に理解を示していても、理事が改選され、いつしかホテルやタイムシェアに理解のない執行部ができると、当初の事業のコンセプトの遂行に困難が生じる場合も想定できます
 
今泉:はしごを外された形になるかもしれません。
 
鈴木:当初の事業コンセプトを保守するためには、タイムシェア研究会レポート(国土交通省住宅局)のような信託方式も賛成できます。所有権方式はなじみません。やるなら利用権信託です。所有権方式はやはり区分所有法に基づくことになります。要は信頼の問題。信託が信頼の出発点になり、商品の質に関しては運営会社の問題になります。ただし信託報酬が発生するからコストアップになります。
 
大谷:いいモノは高いと割り切る話でしょうか。
 
平尾:少し別の意見を申し上げます。かならずしも信託にする必要はありません。日本のゴルフ場では信託などは使わない預託制でした。会員権とはいえただの紙切れです。それでもバブルを乗り越えたところはキチンと運営できていますし、リーズナブルな価格で取引されています。日本のリゾートクラブの会員権も信託なして運営ができています。そうなると、なぜ、タイムシェアだけが信託が必要になるのかわかりません。
 
大谷:国交省レポートをどうみますか。
 
平尾:あのレポートは正しいとは言い切れない。タイムシェア業界が求めるソリューションになっていないと思います。
 
今泉:管理組合がタイムシェア事業のコンセプトをゆるがすから、タイムシェア法のようなもので、管理組合の裁量をある程度の規制することが必要という点はどう考えますか。
 
平尾:米国のタイムシェアも日本と似たような法律に依拠している部分があります。米国でもコンドミニアムには、コンドミニアムアソシエーション(管理組合)があります。タイムシェアにはタイムシェアアソシエーション(同)があります。プロパティの共有部分はコンドミニアムアソシエーションがコントロールしています。この部分は日本の集合住宅の管理組合とおなじです。タイムシェアアソシエーションはタイムシェアのユニットの内部をコントロールしています。
 
今泉:ひとつのプロパティのなかに居住用(住宅)とタイムシェアなりホテル客室が混在していると、アソシエーションのあいだにコンフリクトが生まれやすいですね。
 
平尾:ひとつのプロパティの全ユニットがタイムシェアの場合のほうがずっと管理しやすいことはたしかです。現実には混在するケースも多のですが、コンフリクトはいつも発生しているのではありません。部分的に発生するだけです。
 
鈴木:米国でもタイムシェアのような一時的居住者と通常の永住的居住者とのあいだにコンフリクトが生ます。日本のリゾートマンションだと大浴場をもつケースが多い。たとえば、これをコンバージョンするとホテル客が増えて大浴場が使いにくくなったというようなクレームが発生します。
 
大谷:ひとつのプロパティのなかに、ユニットのワンオーナー(1室1所有者)とメンバーズ(1室複数所有者)が混在する場合、ワンオーナーとメンバーズでは権利意識に差が出ることも考えられます。そこで管理組合の運営が難しくなり、管理会社は、自らの持分である未販売ユニットの票を使って意のままにうごかそうとします。そこで、会社の言いなりという批判が生まれかねません。
 
平尾:かならずしも難しい例ばかりではありません。熱海の260ユニットからなるプロパティで20ユニットをタイムシェアでオペレーションしています。築20年でワンオーナーが高齢化して活気がなくなっています。そのカラオケ大会に、タイムシェア利用者の若者がはいるとおおいに活気がでるので、よろこばれているケースもあるのです。
 
鈴木:往々にしてリゾートマンションの管理組合員は、あまり総会への出席や議決権行使に関心を持たれていない場合が多く、その場合いきおい理事長への委任状決裁になりがちです。そうなると少数の理事の意見や声が大きい人の意向に傾きやすくなります。そういう事情も考慮する必要があります。
 
平尾:それは管理組合という制度それ自体の問題というよりは、管理会社の歴史が浅くノウハウがないことに起因するのかもしれません。たとえば、管理会社が開発会社の子会社で、居住者は高い管理費を取られる割に管理会社は何も仕事をしていないというような嫌悪感をもっているような場合だと、そのうらみつらみがタイムシェアのユニットに集中します。スタートがしっかりしていたかどうかも問われます。
 
鈴木:多くの場合、管理会社の選定・変更は総会ではなく、理事会の決議事項であり、管理会社が理事会にしっかりと意見ができない場合があります。制度の整備をはかる必要があると思います。

 ジョン論

平尾:当社の
越後中里の場合は典型的なコンバージョンです。全体で700室(ユニット)あり、そのうち400室をホテルオペレーションしており、さらにその一部をタイムシェアでオペレーションしています。エレベーター・レストラン・大浴場ほか多くの共有部分があります。当然のことながら、細かい問題はいつも発生しますが、その都度解決していきます。この辺は、米国流のタイムシェア法を設けたとしても、あまり変わらないと思われます。

鈴木:米国に比べると日本では所有意識が高いです。利用よりもプレステージで買っていくケースも多いです。

平尾:米国でもコンドミニアム(集合住宅)のユニットの一部をタイムシェアにコンバージョンするケースはたくさんあります。もめることだってあります。管理組合の会議が10時間つづくこともあるのです。

今泉:メンバーシップに1/15の所有権、タイムシェアに1/51の所有権、コンドミニアムホテルに1/1の所有権。これがひとつのプロパティに混在してもなおきっちりオペレーションを進めるノウハウがあるかどうかが問われますね。ただ、コンバージョンはあまり人気がないと話もあるようですが。

平尾:米国ではコンバージョンは主流ではありません。ある大手ホテル系のタイムシェアは設計段階でコンドミニアムとちがった考え方を導入します。つまり、コンドミニアムはタイムシェア事業に向かない、タイムシェアはコンドミニアムやコンドミニアムホテルと造り方がちがうと考えています。

今泉:どういう点でちがうのでしょうか。

平尾:コンドミニアムがゆったり感とすると、タイムシェアはわくわく感ということになります。ジャクジーやバスルームを工夫します。長期に居住するのと、1週間の生活では、必要なもの・必要ではないものが異なってきます。そして投資効率を考えます。

大谷:私見ですが、90年代のタイムシェアはコンドミニアムホテルの延長上と位置づけ、いまのタイムシェアはタイムシェア独自のコンセプトで開発していると考えました。

平尾:タイムシェアは80年代に新規まき直しでスタートし、次第に投資という発想が加わり、80年代後半になってビッグプレーヤーの存在が顕著になったのです。ビッグスリープラスワン、ヒルトン・スターウッド・マリオット+フェアフィールドです。しかしプロパティにハワイらしさがなくなったというコメントもあります。タイムシェア設計の専門家はかならずしもハワイ出身とはかぎりませんし、ハワイに深い理解がない場合もあります。その点、大手ではなく地場のインディペンデントのタイムシェアのほうが、ハワイらしさがあるかもしれません。

◆fix-weekとfloatならびに交換(エクスチェンジ)論


 大谷:ハワイのトップシーズンはいつごろですか?
 
平尾:2月がピークです。ハワイにとって日本のゴールデンウィークやお盆休みは好都合である。来訪客はまさにウィンターバード(冬のわたり鳥)といわれる。
 
大谷:オワフ島のマノアにはハワイ大学があり観光学部もあって興味深い研究をしている。ずいぶんまえのことだが、アラモアナは宿泊業態の展示場と評していました。コーネルではどうでしたか。
 
鈴木:80年当時でも、コーネルのホテルスクール(大学院)ではタイムシェアという授業科目がありました。
 
平尾:ハワイタイムシェアの80年代は70年代の不公正な商いの反省に立ち、商いの正常化をめざした州法が施行された時期です。80年代のはじめはオーランドあたりに人気がありました。
 
鈴木:80年代当初でも、今でも、寒い地域に住んでいる人は、冬はフロリダに行くという話しはよく聞きます。
 
大谷:タイムシェアの価格設定の際に、51週を厳密にくぎって、ピークシーズンの週から、きっちりと各週の値付けをするのは、あまり賢いやり方ではないように思いますが、いかがでしょうか。
 
鈴木:売れない週がでてくる。歯抜けがでてしまうので、fix(利用できる週を固定)ではなくfloat(利用できる週に幅を持たせる)しておく必要があります。
 
大谷:売れない週はディスカウントしてでも売るべきでしょうか?
 鈴木:fixだと売りにくいです。埋まらないとランニング(利用収益)が稼げないので、最後はディスカウントしてでも売ることになります。
 
平尾:タイムシェアのfix-weekは、あとからできた商品であって、もともとfloatが主流です。日本でいったら盆・暮れ正月・5月連休あたりの最大の繁忙期はfixするとして、あとはfloatにします。それだけに交換は重要です。ハワイのタイムシェア客の60%が交換です。
 
今泉:JRCAのリゾネットも結構使われています。
 
平尾:交換会社はかなり力をもっています。ARDA(アメリカリゾート開発協会/くわしくはホームページ参照)の年次大会の際のRCIナイトやIIナイトも盛り上がっています。
 
鈴木:ポイント制が増えています。ポイントは交換会社のクルージングやレンタカーにも変えらます。いわば金融商品ともいえます。
 
平尾:オーナーがポイントを自社内でつかえばCash-outを伴いません。たとえばヒルトンのオーナーがアラスカのクルーズにいけば、ヒルトンから見るとCash-outになります。そのうち航空運賃やショッピングにも使えるようになるかもしれません。米国ではこのポイントシステムが毎年増えていいきます。
 
鈴木:リセール市場も育っています。
 
平尾:インターネットの効果も大きいです。
 
大谷:日本の会員制では、ふつう、食事がつきもので、室内にキッチン設備がありません。米国のタイムシェアを基準にした場合は調整の余地があります。しかし現状で翻訳機能ができています。たとえば、RCIが翻訳機能を発揮して日本の会員制と米国のタイムシェアをいわば等価交換しています。日本流のカレンダー方式を1週間分にまとめ、米国のタイムシェアと交換する。日本はもともinboundに弱いですが、しかし交換はinboundが多くoutboundが少ないようです。施設の数およびロケーションのアンバランスも影響しているでしょう。
 

◆日本でのタイムシェア事業の展望


 大谷:さて、タイムシェアは日本に根付くものかどうか。うまく根付かないとすれば、その原因はどこにあるのかについて、ご見解をうかがいましょう。
 
鈴木:いまの法律のままという前提なら、日本市場が所有にこだわるかぎり難しいでしょう。区分所有にこだわる限り、区分所有法が前提となります。事業のコンセプトが揺らぐ可能性は避けなければならなりません。この点をクリアするには、利用権にして信託を活用すればよいと思います。
 
平尾:米国でこんなにのびている事業分野はほかにないというほど、タイムシェア事業は活況を呈しています。KPMG(クラインベルド・ピート・マーウィック・ゲーデラー)やPWC(プライスウォーターハウスクーパーズ)の調査では、90年以降約20年、年率20%近い伸びといいます。それなのになぜ日本では伸びないのか、まさになぞです。自分もよくわからないのです。
 
大谷:あえて推論するとどうなりますか。
 
平尾:米国でタイムシェアが成長した背景は、①タイムシェア法の整備(州法)、②リーディングカンパニーによる信頼の確立、③高度なExchangeシステムの存在、④膨大なバケーション市場というふうに整理できます。これを日本に当てはめると、どうみえるでしょうか。たしかに、日本には州法に匹敵するものはありません。米国型タイムシェア事業は日本国内でほとんど手付かずです。リーディングカンパニーはいまだ輩出していません。
 
大谷:日本の会員制リゾート事業をタイムシェア事業と読めば、日本流のタイムシェア事業にもリーディングカンパニーは育ってきているといえます。その点で、国交省版タイムシェア事業研究会レポートは、米国型に限定してタイムシェア事業とする傾向があるように思います。たぶん交換を気にするあまり国際標準を意識したのでしょう、米国型にしてもずいぶんいろいろな種類があります。
 
平尾:日本は所有意識が強いとはいうものの、基本的には利用者の立場です。面倒なことは嫌います。別荘を持つとわずらわしいことが多いから、会員制リゾートクラブに入会し、あるいはタイムシェアを購入するのです。米国のタイムシェア購入をみていると、10%の頭金であとはローン。利用権のような気軽さで買って気軽に交換して使います。かりに所有権を売るといっても「そのうち売れるさ」と考える程度でしょう。したがって、所有権に基本を置いて信託方式を持ち込んでも、顧客の表情が見えてきません。米国や欧州流のカントリークラブ方式は無理であるし、そうなると管理会社の運営を信用するしかないと思います。
 
鈴木:穴が開いたら自己責任で埋めるということだから、管理組合はカントリークラブ方式そのものであります。また、タイムシェアのお客はクラブのメンバーというが、日本では基本的にホテルの宿泊客であると思います。
 
平尾:米国ではオーナーズクラブのメンバーライフを求める傾向にあります。アイスクリームやハンバーガーパーティをやると、わっとあつまって、いつまでもいて、夜の10時や11時くらいまで、わいわいやっています。
 
今泉:日本のリゾートクラブでは、たとえばカラオケ大会が好まれるでしょう。
 
平尾:当社のオーナーは1200~1300人くらいだが、オーナー交流会を100名単位で募集すると200名くらい応募があります。先着順で受け付けます。クラブ内クラブです。ホテル客とクラブ客が混在しているが、イベントがあれば双方から参加があります。
 
鈴木:たしかに米国はパーティ好きだし滞在期間が長いです。米国では日本ほど所有にこだわらず、きちんと休暇をとって遊ぶ傾向があります。
 
大谷:今後の展望はどうでしょうか?
 
鈴木:観光地の閑散期はほんとうにゴーストタウンなので、売れ残りリゾートマンションがうまくコンバージョンできればよいと思います。しかし消防法ひとつとっても宿泊と居住では許認可が異なります。完工したリゾートマンションにホテル基準の消防設備を要求されてもなかなか対応できません。その辺の法整備の必要があると思います。
 
平尾:今回の国土交通省のタイムシェアは2地域居住の促進が狙いのようです。住宅需要の掘り起こし政策のいったんかもしれない。それをタイムシェアに結びつけると、ボタンの掛けちがいを起こすような感じもあります。
 
今泉:日本人の連泊増加による着地型観光の促進や、外国人会員の増加によるinboundを強化という考えもあるようです。
 
平尾:その実現は、国土交通省のタイムシェア研究会レポートからあまり見えてこないです。
 
鈴木:国際化となると言葉の問題がある。米国型だと1週間の滞在なので、言葉によるコミュニケーションの問題は重要です。
 
平尾:日本版ARDAのような組織も必要だ。JRCAがそのほうで伸びていくのも良いと思います。。ワシントンにあるARDAは弁護士だけでも20人くらい抱えています。たとえば各州タイムシェア法の調整からはじまって、修繕積立金の処理の仕方まで、きっちりと方向性を定めています。
 
今泉:修繕積立金の例は。
 
平尾:米国ではタイムシェアの管理組合(アソシエーション)のなかに積立金をおきます。管理会社の売上ではありません。すでにお話したように、ユニットの外側はコンドミニアムの管理組合の所管であるからタイムシェアの管理組合は、ユニットのオーナーとして費用負担だけです。タイムシェアの管理組合はユニットの内側、ことに什器備品を扱います。フォークやスプーンの類まで取得価額と耐用年数をコンピュータに入力して、タイムシェア法にしたがって、修繕積立金の使い方をコントロールします。そういう意味では徹底していると思います。


 
◆追記(あとがき)


 ほぼ単身赴任とはいえ2地域居住経験34年(東京と信州29年、東京と仙台5年)の経験から言うと、日本でタイムシェア事業が根付くかどうかは、副居住地での快適さによる。この例でいけば信州や仙台の居住の快適如何という問題である。なにが主で副かは主観による。また、副居住地の居住期間が短ければ観光、数日から数ヶ月なら滞在、それをこえれば短期・長期の居住となる。
 
 副居住地に仕事があれば、そしてその仕事が円滑にいっていれば、気候や人間関係や食住に多少の難点があったとしても快適である。家庭菜園規模で野菜果実を造りながらそれをウリにTV出演したり、執筆や作曲や工芸などの創作活動する手合いである。東京の異常地価の折には、WeBへの熱い期待もあって、居住ではない滞在向きの「リゾートオフィス」が真剣に検討された。
 
 副居住地にこれといった義務がない場合、つまり、自由裁量支出をして自由裁量時間をすごす「あそび」であるならば、ひろい意味での「趣味」とそのプラットホームとなる施設+自然環境(風景や気候その他たたずまい)が問われる。しかしひと月「あそび」となると、これもよほどの社交関係でもないかぎり厭きてしまう。1週間くらいがちょうで良いところというのが米国流である。日本流ではせいぜい週末連泊であった。2泊程度の短期なら食事と物見遊山でなんとか消化できるが、旅館の食事を1週間続けることは金銭負担を別にしてもかなり困難であるように、1週間となると物見遊山以上のさらなる創意工夫とそれなりのプラットフォーム(施設+環境)が不可避である。しかし、これが信州や仙台ではなく、パリ・ミラノと東京の組み合わせならどうなるか。案外、食事+物見遊山だけでも何とかすごせそうだし、ちょっとした仕事があれば、厭きることもなく、短期・長期の居住は存外用意であろうかと思われる。
 
 そうなると、1週間厭きずに過ごせる受け皿(提案)があるのかどうかが問われる。その提案には、食事+物見遊山のみならず施設や環境、つまりは気候や地理のような自然環境+プロパティ(人工的ないしは社会的な意味を含む建造物など)が問われる。1週間となると、通常の日常に近い生活を送れるすこしく楽しい空間が必要になろう。たぶんにコンドミニアムホテルがそれに該当する。良質なコンドミニアムホテルの確認なしに、いきなり米国型タイムシェアに依拠し難しい。そして、かんたんに51週というけれど、100ユニットなら5100口を販売しなければならない。その半分を売ってB/Sの貸し方を処理し、2600口の売上でP/LをまわせればOKである。むしろ外国人が評価する商品が望まれる。さらに、「あそび」となると「ブランド」を望むとであろうから、日本流タイムシェア事業は、案外、ラグジュアリブランドのような事業への理解が必要なのかもしれない。


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