◆緊急告知

関東通産局は、特定商取引法に違反する行為により、リゾートクラブを含む複合会員権を連鎖販売する㈱リゾネットに対し、15か月間、業務停止命令。会員を勧誘したら儲かるとか、会員はいつでも割引で泊まれるとかには要注意!
㈱リゾネットは当協会の「リゾネット」とは関係ない・・・e-Commerceを舞台にした新たな事案
 

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⑧あのときこのホテルを

 Q:このホテルの計画はいつ頃でしたか・

 髙﨑1989(平成年)に計画着手し平成3年に竣工開業いたしました。紀州鉄道の会員制施設は主に関東以南に展開していましたが、大半を占める首都圏の会員から北関東にも本格施設をとの要望を受け、たまたま縁のあった当地に建設を決定しました。

 Q:裏の階段をあがると、逆杉まで500メートルくらい。塩原八幡宮のご縁でしょうか。

 髙﨑:塩原八幡宮は八幡太郎義家が逆杉に霊感を受け建立したとも伝えられますが、ホテル敷地に隣接し能の鵺でも知られる源三位頼政の孫が隠れ住んだ鍾乳洞もあって、川の流れと巌に人を呼ぶ気の様なものを感じ、会員制ホテルに合致していると直観しました。

 Q:リゾート施設は商業用地や住宅開発と違って、海そば・河そば・崖っ縁を好みますが、規制が多くなかなか厄介なのです。

 髙﨑:ここも南に箒川支流と崖を背負う、細長く奥行のない土地なので、普通に考えると旅館には適しません。しかし、建てるとなればこの土地の長所を最大限に活かす必要があります。

 Q:塩原エコーラインの先に箒川本流、崖の下の小さな川は箒川の支流。塩原エコーラインと崖にはさまれた用地ですね。

 髙﨑:道路にそった細長い土地ですが、崖は凝灰岩系の柔らかい岩が露出した独特の趣きと、さまざま樹木が枝を広げています。崖を借景とし川を取り込む、これがこの敷地を活かす手法と判断しました。

Q:和と洋がよく調和していると感じましたが・・・。

 髙﨑:当社のホテルの外観は洋風のものが多いのですが、当時の風潮を受けて、和をベースに洋の合理性を加えました。敷地が広ければ宿泊部門は離れ形式にしますが、一般的な方法ながら、3層部分までを共用・付帯設備、4層以上を宿泊部門、駐車場は地下に配置しました。

 Q:建物の表側と裏側では表情が全く違いますね。

 髙﨑:敷地の形状から、道路側と崖や川の庭園側を建物で分断せざるを得ず、あえてロビーやロビー上部の屋根を外部空間で繋ぐような意匠とし、道路側と崖側の繋がりを演出しました。

 Q:その効果が出ていると思います。オペレーション上の工夫はいかがですか。

 髙﨑:裏動線は単純化し短くしてあり。少人数でのオペレーションが可能です。

 Q:会員制では重要なポイントですね。めぐり巡って会員のプラスにつながります。

 髙﨑:通常のホテルに比べると、2割程度の要員を抑えています。

 Q:ここの露天風呂は文字通り露天ですね。

 髙﨑:川と露天風呂との一体感から、1階に浴場を持ってきました。露天風呂やロビーと崖のあいだにある川は、これでも箒川の支流ですが、すぐ上流のところに鱒の養殖場があります。したがって、流量は安定して、いつも岸辺に溢れるように「水」が流れています。

 Q:1級水系の準用河川でしょうか。晴天が続くと水がなくなってネコでも跨げる河川になる場合が多いのですが、常時、水が流れているのは貴重です。

 髙﨑:1階にはプール、ジャグジー、ゲーム施設。2階に厨房とレストラン、3階に個室会食場や宴会場を設けました。

 Q:吹き抜けがありますね。

 髙﨑:2階3階を吹き抜けで繋ぎ、食事会場の一体感を出しました。3階宴会場から箒亭へは渡り廊下進む感覚です。差別化された空間を意図しました。

 Q:客室はいかがですか。

 髙﨑:基本は和です。ただ、座ることが苦手な方も多いので、全館掘り炬燵を採用しています。ベッドを好む高齢者が多いので、ツインルームと和室を交互に配置し、コネクティング・ルームとして二つ併せて使える部屋も多くしています。

 Q:中廊下の生け花が印象的ですね。

 髙﨑:客室は箒川本流側と崖の林側とに面した中廊下形式です。効率は良いのですが、閉鎖的な雰囲気もあり、趣を添えるための配慮です。

 Q1990年といえば、後から考えるとバブル経済崩壊の初期です。いまの欧州通貨危機の発端とよく似た時期です。この施設は良く考えて作ってあります。

 髙﨑:敷地に比べ建物の規模が大きすぎましたね。土地に目一杯建物を建てることが効率的という、かの時代の誤った考えの下に設計しましたから。反省しています。

 Q:借景が十分カバーしていると思います。

 設計者紹介
 髙﨑能紀(たかさきよしのり) 1945(昭和20年)2月生。紀州鉄道()
代表取締役、社団法人日本リゾートクラブ協会副会長。一級建築士。紀州鉄道グループの軽井沢列車村ホテル、パルコール嬬恋スキーリゾートなどグループの主要施設の設計及び建設に携わる。那須塩原ホテルでは、土地選定、事業計画、基本プラン、実施設計、工事着工完成まで、総責任者として采配を振った。   
                         記録とインタビュー 文責 大谷